GEZANが主催するフェス、全感覚祭19に行ってきた。
![全感覚祭19_02](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_02-1024x686.jpg)
9月21日、早朝から新幹線と電車を乗り継ぎ、
大阪・堺までやってきた。
前日までは雨予報、
進路によっては台風も来るかもしれないという
不安もあったが、蓋を開けてみれば
曇りのち快晴という、絶好のフェス日和。
![全感覚祭19_01](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_01-1024x686.jpg)
堺駅からテクテクと歩き、会場に近づいてくると、
徐々に行き交う人も多くなり、
高架下をくぐったところで、
突然空気が変わったのを感じた。
入場ゲートこそ無いが、
そこが全感覚祭の入り口だった。
![全感覚祭19_04](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_04-1024x686.jpg)
全感覚祭は投げ銭のフェス、入場料は無料である。
参加した人が自由に料金を決めて、
善意でカンパするスタイル。
しかも今年はフードも無料。
最初は耳を疑った。
フードが無料って、どういうことやねん!!
思わず笑ってしまったが、彼らはマジだった。
詳しくはマヒトゥ・ザ・ピーポーの
ステイトメントを読んでほしい。
このステイトメントを読んで、
行かない理由は無くなった。
こんなにも無謀かつ夢のようなフェスが、
果たしてきちんと成立するのか、
この目で確かめ、体験したいと思った。
![全感覚祭19_13](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_16-686x1024.jpg)
まず最初に出会ったのは、移動販売のクレープ屋。
列に並び、自分の番が来ると
ストロベリークレープを注文した。
普通であればここで金銭のやりとりがあるものだが、
フードフリーを謳う全感覚祭という街では、
丁寧に焼き上げた生地と
クリームがたっぷり入ったクレープを、
「どうぞ」と無償で提供してくれる。
一口食べて驚いた。
めちゃくちゃ美味しい・・・。
お店で食べる味と全く遜色ない、いや、
むしろこんな美味しいクレープには
なかなか出会えないレベルの味、
そしてそれが無料で提供されるということに、
感動を覚えた。
![全感覚祭19_11](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_14-1024x686.jpg)
その後もカレーや鉄板焼き、
赤出汁に温州みかんetc・・・
いろいろ食べたが、どれも本当に美味しかった。
これらの料理に使われた食材は、
イベントのコンセプトに共感する
農家の方達から提供されたものであり、
誰かが長い時間をかけて育ててきた
食べ物をいただいていることを思うと、
自然と感謝の気持ちが生まれた。
考えてみれば当然のことなのだが、
食べ物が自分の元まで運ばれるまでに、
生産者をはじめ、多くの人を仲介し、
ようやく自分の目の前までたどり着く。
生産者の顔が見えることで、
今自分が食べている食材に対して、
ありがたみをひしひしと感じた。
![全感覚祭19_05](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_05-1024x686.jpg)
会場を歩いていると、壁や地面のあちこちに
大きくプリントされた写真が飾られていた。
路上にアート空間が現出し、
日常と溶け込む様がすごく良かった。
![全感覚祭19_07](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_07-686x1024.jpg)
おそらくこの日一番多くすれ違ったのは、
GEZANのメンバーだと思う。
そのくらい、メンバー4人は
会場内をチャリンコに乗って走り回り、
出演者のライブを見たり、関係者に声をかけたり、
注意事項をアナウンスしたり、
募金を募ったり、炊き出しを手伝ったり、
会場を所狭しと縦横無尽に駆け回っていた。
![七尾旅人_全感覚祭19](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_18-1024x686.jpg)
食べ物の列に並んでいる時、
七尾旅人と折坂悠太も一緒に並んでいた。
アーティストも一般人も関係なくフードの列に並び、
ケータリングを受け取るというのは、
このフェスならではのボーダーレスなコンセプトを
象徴しているようにも思える。
![七尾旅人_全感覚祭19_03](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_20-686x1024.jpg)
これまで何度も旅人さんのライブは観てきたが、
この日は筋ジスの友人、相羽くんをステージに上げて、
詩の朗読と弾き語りのセッションを聴かせてくれた。
いつもながらアドリブでの対応力がすごい。
計算ではなく、その場の空気を読んで、
自身の表現に昇華させるセンスは唯一無二だ。
![鎮座DOPENESS_全感覚祭19_03](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_24-1024x686.jpg)
リハからそのままフリースタイルに突入した
鎮座DOPENESS。
独特なダンスと繰り出すフロウに釘付けになった。
面白く、かつ、カッコいい。
この後に続く折坂悠太やTHE NOVEMBERSも
すごく良いライブだった。
しかし、最終的にGEZANに全て持っていかれた。
![GEZAN_全感覚祭19_03](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_29-1024x686.jpg)
リハの音出しもそこそこに、一気に曲になだれ込む。
一曲目の「Absolutely Imagination」が鳴り始めた瞬間、
ぎゅうぎゅうに詰まった観客が、
ものすごい勢いで波打ち始める。
突き上がる拳、叫び出す歌声、クラウドサーフィン。
まさに熱狂の渦を見た。すごい光景だった。
![GEZAN_全感覚祭19_06](https://kyoheiono.com/wp-content/uploads/2019/09/zenkankakufes_32-1024x686.jpg)
「今日はみんなどんな1日でしたか?
別にみんなが一緒になる必要はなくて、
最高な人がいてもいいし、
最高じゃない人がいてもいいと思うけど、
とりあえず今日みたいな日が奇跡だとか伝説だとか
そういうふうに言われるようじゃダメだと思ってて
こういう日が日常になるように・・・」
こんなMCを、マヒトゥ・ザ・ピーポーは語っていた。
かなりぶっ飛んでる。
ぶっ飛んでるけど、この全感覚祭を敢行した彼らは、
きっと本気でそう思っている。
ロックバンドはまだ夢を見れる。
こんな気持ちにさせてくれる
バンドに出会ったのは久しぶりだ。